世界を揺るがすパラダイス文書

 パラダイスと言えば、ふつう天国を連想するでしょう。 

 ここで取り上げる「パラダイス文書」とは、英領バミューダ諸島などに拠点がある法律事務所「アップルビー」などから流出した膨大な電子ファイルのことを指します。  

 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の調べによると、トランプ政権のウィルバー・ロス商務長官が、タックスヘブン(租税回避地)にある複数の法人を介してロシアのプーチン大統領に近いガス会社との取引で利益を得ていたことが判明しています。  

 このガス会社の主要株主にはプーチン大統領の娘婿や、米国の制裁対象である実業家らが含まれています。  

 トランプ政権にとって、いわゆる「ロシア疑惑」は政権を揺るがしかねない大きな火種です。  

 ロス商務長官は、大富豪として知られる投資家です。商務長官就任後も、タックスヘブンである英領ケイマン諸島で株を保有する複数の法人を通じて、海運会社ナビゲーターと利害関係を保っていたことがわかったのです。  

 ナビゲーターは、ロシアのガス石油会社シバーにガス輸送船を貸し出しています。そして両社の取引が拡大すれば、ロス商務長官も利益を得る構図だったのです。  

 シバーはロシアの元国営企業で、プーチン氏の娘婿が取締役を務めるなどロシア政府と密接な関係にあります。  

 アメリカは今、ロシアに対して経済制裁を継続中です。シバーの大株主の実業家も米国の制裁対象で、米国企業は取引が禁じられています。 

 この件で、複数の専門家が「深刻な利益相反の恐れがある」と指摘しています。  

 つまり、「ロシア疑惑」は根が深いということです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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