時代はボカロ

 かつて流行歌と言えば、歌謡曲のことでした。

 思春期に出会ったニューミュージックは衝撃的で、後にJ—POPと呼ばれる分野へ発展していきました。

 歌謡曲は洋楽と違って、庶民の気持ちに徹底的に寄り添ってくれました。

 ところが今では、歌謡曲は壊滅状態。どう見ても歌謡曲としか思えないAKB48の曲も、意外と購買層の裾野が狭いのが実態です。

 歌謡曲が衰退した要因は、複雑に絡み合っています。

 たとえばウォークマン。若者文化を支えてきたはずのソニーは、ユーザー目線を忘れてアップルのiTunesの音楽配信に敗北しています。

 音楽番組も、ドラマ主題歌のタイアップがテレビとの過剰な癒着を呼んで自壊しました。

 今では、音楽映像を核としたサウンドの塊と割り切るK—POPの台頭。音楽産業が「権利」にこだわるあまり自由度がなくなっています。

 そんな状況で、次世代は動画サイトを享受しつつ成長し、サンプリングされた声から歌声を合成する技術ボーカロイド(ボカロ)で楽曲を作る世代です。

 で、昨年度ネットにアップされたボカロ曲は3万以上にも上り、1曲で数百万回の再生も珍しくありません。

 新しい音楽の孵化器として無視できないはずですが、音楽業界やマスコミは過小評価しているようです。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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