若者は「青い鳥」を追いかけたがる

 人生経験が乏しい若者は、なにかと自分探しに明け暮れて「青い鳥」を追いかけがちです。

  ベルギーの劇作家メーテルリンクが書いた童話劇『青い鳥』は、チルチルとミチルの兄妹が妖精に導かれて希望の象徴である「青い鳥」を探し歩くというもの。

  青い鳥症候群――。それは精神科医の清水将之医師が著書『青い鳥症候群 偏差値エリートの末路』(弘文堂)の中で唱えた概念で、青い鳥シンドロームと呼ばれることもあります。ふつう、あるかもしれない「天職」を求めて何度も仕事を変えているような忍耐力に欠けた若者などを指して使われています。  

 青い鳥症候群の人は、たいてい理想と現実とのギャップに不満を覚えています。自分探しと称して「もっと自分に合ったものがあるはず」と定職につかなかったり、転職を繰り返したりしているのです。

  子ども時代に受験勉強が中心で友だちとの交流が少なかった人、プライドが高く思い通りにいかないと我慢できない人などに多く見られます。なにかと空想の世界で生きていることが多く、リアルな現実から身を持って学ぼうとしないところがあります。

  そうした思考パターンは、まさに「青い鳥」を探し求めているチルチルとミチルのようです。

  ただ、「青い鳥」とは最初から存在していると思って追い求めるのものではなく、自分でゼロから生み出して育てていくものです。そして自分とは、どこかに理想像があると思って探すものではなく、自分でゼロからつくり上げていくものです。

  そこがわかっていないと、いつまで経っても「青い鳥」を追いかけ、自分探しに明け暮れることになります。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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