野菜の即席栽培は江戸時代に始まった


 8月31日は、「831」を「やさい」と読む語呂合わせで「野菜の日」でした。

 この日を「野菜の日」ときめた業界の思惑は、太陽をふんだんに浴びた野菜が出回る時期に消費量を増やしたいというものでしょう。

 しかし、今年は7月の長雨と日照不足、8月に入ってからの猛暑で野菜の受難が続いています。

 東京の市場での7月の国産野菜価格は、冷夏で農作物全体が打撃を受けた1993年を上回っています。8月に入っても高止まりの傾向が続き、小売店でのレタスやキャベツの価格は平年の2倍前後といいます。

 コロナ禍の影響もあり、4月の緊急事態宣言以降、飲食店や給食向けの需要が減る一方、巣ごもり需要で家庭での消費は増えています。

 しかし、野菜の輸入は減っていて価格の動向が読みにくい状況になっています。

 とにかく、店頭で売られる野菜から季節感が薄れたと言われて久しいのは確かです。ハウス栽培の普及が一因でしょうが、促成栽培自体は江戸時代に始まったといいます。

 江戸っ子は、初物を珍重するところがあります。

 現在の東京都江東区では、こんな話が伝わっています。

 近郊の農民が江戸のゴミを集めて堆積し、そこから出る熱を利用して夏野菜のナスやキュウリを育てる方法を考案し、春に出荷したといわれているのです。

 ずいぶんエコな発想ですが、当時は旬の時期以外の野菜を食べるのは贅沢とされ、たびたび禁止令も出されています。

 現代人は、季節を問わずに様々な野菜を味わえるようになっているので現代人は贅沢な身分といえるかもしれません。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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