自民党総裁選の醜悪な姿


 さて、「相」の字には多くの意味があります。  

 手元の辞書を見てみると「詳しく見る」、「占う」という意味もあり、「手相」、「観相」などとして使われています。  

 マスコミでも毎日、大臣という意味で「相」の字を目にします。この場合、「相」の字は「係り」、「主任者」という意味でも使われています。 

「財務相」や「環境相」とは、各分野の担当責任者を表しています。  

 総理大臣は「首相」とも呼ばれますが、この場合の「相」は「補佐する」という意味も含みます。  中国では古来、首相とは君主を手助けして政治を行う側近のことを指していました。  

 主権在民の現在の日本に当てはめてみると、首相は国民に仕え、国民の幸福のために汗するリーダーのことだと言えるでしょう。  

 そこに、実態とはかけ離れているという疑問はあります。  

 ともかく、安倍首相の辞任表明を受けて今、自民党の総裁選が始まっています。  

 菅、石破、岸田の3氏が立候補しましたが、「後継総裁はすでに自民党内の相談で大勢が決まっている」というのが多くの国民の認識でしょう。  

 首相に「相」が使われているのは、「互いに」の意味があるためです。  

 なるほど、党内の派閥が互いに損得を計算した結果と言われると〝納得〟といった感じです。

 「相好を崩す」とは、表情を緩めて顔をほころばせることです。   

 今回の自民党総裁選では思惑通りに事態を進めて、「相棒」同士ほくそ笑んでいる国会議員も多いことでしょう。  

 しかし、政策論議を望んでいる自民党の党員や国民との感情の「相違」は広がっていると思われます。  

 自民党は、かつて密室で人事などを進める政治が批判されています。  

 その再現のような古い体質も、この漢字で言い表せる感じです。 「相」は、もともと動詞の前に置いて語調を強める際に使われてきました。  

 たとえば「相変わらず」という使い方ですが、まさに自民党の〝醜悪な姿〟を映し出しているようです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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